ニュースの概要
オリズムが発行する電子書籍『家を注文して建てると、失敗する理由。』が、AmazonのKindleストアで無料ランキング総合1位となった。無料キャンペーンは10月8日から12日までの5日間で、累計ダウンロード数は442件。総合のほか「Kindle本」「日本の建築」「住宅建築・家づくり」など8部門でも首位に立った。著者は全国500社以上の工務店を支援してきた人物で、注文住宅で後悔しないための考え方をまとめている。数字だけ見れば小さな規模だが、家づくりの失敗という重い題材に読者が集まった点に意味がある。
引用元: 電子書籍『家を注文して建てると、失敗する理由。』がKindle無料ランキング総合1位(atpress)
分析・見解
442件で総合1位になる、無料ランキングの仕組み
無料ランキングは、有料ランキングとは別に集計される。ダウンロード数が数百件でも、短い期間に集中すれば上位に入れる。今回は5日間で442件、1日あたり平均でおよそ90件弱だ。つまり「1位」は大きな販売実績ではなく、狙った期間に関心を集められたことの証明と読むのが正確である。
同じ1位でも、ジャンル別の首位は競争相手の顔ぶれが違う。「日本の建築」や「住宅建築・家づくり」での首位は、住宅に関心のある層にきちんと届いたことを示す。総合1位よりも、8部門で同時に首位を取った事実のほうが、読者像をよく語っている。
「失敗する理由」という題名が読者に刺さった背景
住宅は人生で最大級の買い物で、やり直しがきかない。だから人は、成功例よりも先に失敗例を探す。書名に「失敗」を置いた点は、この心理によく合っている。しかも「注文で建てると」と、自由度の高さそのものを疑う切り口だ。自由に選べるほど迷いが増え、判断の数が膨らみ、予算も工期もずれやすくなる。この実感を持つ読者に届いたのだろう。
もう一つ、失敗の原因を知識不足ではなく考え方に置いたことも大きい。間取りや設備の選び方を教える情報はあふれている。だが、何を基準に決めるかという入口から語るものは、探すと意外に見つからない。基準が定まれば、迷いは減る。
500社の支援経験が、無料の本に重みを与える
著者は全国500社以上の工務店を支援してきた。施主の側ではなく、つくる側の現場を多数見てきた人が語る失敗談は、個人の体験談より重みがある。体験記は一件の話にとどまるが、数百社の現場に共通する型なら示せるからだ。ここで見落とせないのは、中身そのものより「誰が言うか」が、無料でも手に取られる入口になっている点である。
ただし、実績の数字は鵜呑みにしないほうがよい。支援先の数が多くても、読者自身の家にそのまま当てはまるとは限らない。
無料配布は、相談前の信頼づくりに使える
住宅会社が資料請求の前にガイドブックや冊子を配る例は、以前からある。電子書籍は、それをより広い市場に開いた形といえる。ダウンロードした人は、まだ会社を選んでいない。この段階で「不安を先に言葉にしてくれた相手」として記憶に残れば、比較検討の土俵に上がれる。無料であっても、読者の時間を使ってもらう以上、中身が薄ければ逆効果になる。
今後、同様の動きは増えるだろう。そのとき差がつくのは、配布の巧みさではない。読後に何を約束し、実際の打ち合わせでそれを守れるかである。
ビジネスへの影響
自社の失敗事例を、先に出す勇気を持つ
工務店が集客で出すのは、完成写真と施主の声が中心になりがちだ。だが、検討中の人が本当に知りたいのは、どこでつまずくかである。引き渡し後の不満、追加費用が出た場面、打ち合わせで食い違った点など、よくある失敗とその防ぎ方を自社の言葉で整理して公開したい。隠さない会社だという印象が、問い合わせ前の信頼になる。
小さな数字でも、使い道は決められる
442件という数字は、広告費をかけた集客と比べれば小さい。しかし、住宅の検討者は購入までの期間が長く、一人あたりの価値が大きい。数を追うより、誰に読まれたかを見るほうが実務的だ。電子書籍でも冊子でもよいが、配布した後に相談や来場へつなげる導線(=次の行動への道筋)を必ず用意する。ダウンロードで終わらせない。
始める前に、三つのことを決めておきたい
第一に、対象を絞る。土地探しの前なのか、見積もり比較の段階なのかで、書く内容は変わる。第二に、約束を守れる範囲で書く。「絶対に失敗しない」といった断定は避け、確認すべき項目を示す形にする。第三に、効果を測る指標を先に決める。ダウンロード数に加え、その後の問い合わせ数や来場数まで追えば、次の一手が見えてくる。
